∟運命は皮肉...
放課後、いつもより早く学校を出ていつもより早く家に着いた。 そこにはまた私には予想外の出来事が待ち構えていた。 帰ってからずっと両親は私の顔をチラチラチラと見て様子を伺っている。 こちらが気づくとさっと他所に視線を寄せる。 きっと断ったのかど…
彼が何か言ったのか、すんなりと映像科のある校舎を抜け出し、自分のクラスに戻ることができた。 しかも遅刻しているにも関わらず教科の先生は何一つ叱ることなどせず、「早く入りなさい」と一言言っただけで、これまたすんなりと自分の席に着くことができた…
引きずられるように連れてこられた屋上に着くと、彼は私の手を離し、自分はフェンスに佇んだ。 それはそれは見惚れてしまうほど綺麗な絵図になりそうなものだった。 「聞いているかと存じますが、あの件、私はお断りさせていただきます。」 ハッとしこれまた…
ちょうど次の日は美術部で月一の絵画を交換する日で、映像科のある建物にもすんなりと入ることができた。 美術科である私たちの校舎とは全く違うべつの校舎。 しかも皇太子が入学するにあたり、セキュリティなどが強化され、用がないと同じ学生とはいえ入る…
子供の頃の記憶とは曖昧なもの。 そう無理やりこじつけて、憂鬱なまま家に帰ってみれば、両親は必死な顔をして何かを探していた。 こちらもああでもないこうでもないと言いながら。 「パパ、ママ、何を探しているの?」 探すのに夢中で娘が帰ってきたことに…
教室に入ると皇室フリークな友人、ヒスンとスニョンが皇室アルバムを見ながらああでもないこうでもないと相変わらずつぶやいていた。 これも見慣れた光景。 「もうこの姿が見え素敵でござる~。」 何を見ているのかと思えば、5歳くらいの彼がクマの人形を持…
今日も学校へ行く。 一生懸命自転車を漕いで漕いで遅刻しないように。 坂を登り、橋を渡り、ただひたすらに。 その自分の横をピカピカの高級車、宮のエンブレムをつけて颯爽と横切っていく、自分を通り抜けていく一台の車。 この国の同い年の皇太子を乗せて…
幼い頃から数年に一度見る夢、子供の頃の夢。 3歳か4歳くらいの自分と自分と同じくらいだろう男の子が仲良くだだっ広い庭で仲良く遊んでいる夢。 その夢はいつも二人で同じ場所、でも場面は毎回違っているように見えた。 かけっこしたり寝転んだり、お花を見…