葵香の勝手 宮小説の世界

yahooブログ「Today is the another day」からこちらに移行しました。

PHD

真愛なるものたちへ -三女 イ・ネイー

『 I have a dream..... 』 そう冒頭で高らかと演説したのは誰だっただろうか? 母が亡くなって数日、あわただしい時間は過ぎ去り、また普段の日常生活に戻って行く。 ふと思い出す。 ある意味、窮屈な世界の中で、プライベートなどないような世界の中で、父…

真愛なるものたちへーイ・リア vo.2ー

相変わらず嫌味な奴だと思う。 「もう時効だな。リイの両親はもういない。本当かどうかも確かめる術はない。 信用してもしなくてもどちらでもかまわない。俺には害がないんでな。」 そう言ってニヒルに笑って見せる。 薄情な男だ。 それでも相変わらずのカッ…

真愛なるものたちへーイ・リア vo.1ー

幼いころから両親はあこがれの存在だった。 子供の目からとても仲の良い夫婦だった。 時としてそれは他人から見ればかなりの異常というか溺愛というかなんというか・・・。 子供の目線など全く気にせずのスキンシップ。 これが我が家では普通だった。 私もこ…

Brightness of the lightning

――どうしてこいつは怖がらないんだ?―― シンはずっと以前から不思議がっていることが一つあった。 それは妻であるシン・チェギョンが全くと言っていいほど雷を怖がらないことだった。 普通の感覚で行けば、女性の大半はおそらく雷を怖がるはずだ。 滅多に観…

どっちが天の邪鬼?【後編】

は~、間に合った。修正に修正を加えて長くなったので、2編に分けました。 前編は2月28日に書いております。また、この作品のひとつ前なので、わかりやすいと思います。 では、楽しんでくださいね。 追伸:新しいバナーを取り込みました。いつもいつも確…

どっちが天の邪鬼?【前編】

―――天の邪鬼ねぇ~――― チェギョンはふとそんな言葉を頭の中に思い浮かべた。 でも、浮かびあがった瞬間、疑惑と言うか普通に思った。 『天の邪鬼って何???』 言葉の意味を的確に表せなかったのだ。 ということで、高校時代にお世話になった(?)辞書を…

Unknowing Feelings

「なあシン。お前、女の子を見てドキドキしたことあるか?」 唐突に聞かれた質問。 なぜそんな質問をしてきたのか? その答えは発言主であるギョンが持っていた雑誌だった。 雑誌の特集。 毎回同じような特集が載る。 飽きないのが不思議なくらいに・・・。 …

Present for・・・

こんな日はあなたに会いたいな・・・と思う。 冬の日、縁側にアルフレッドを隣りに置き、湯呑み2つをそばに置く。 “チェギョン…” アルフレッドがいた場所にいつの間にかシン君が座って微笑んでいる。 ――あ、やっと来てくれた。遅いんだから。―― 会いたくて…

想い~Secret heart~

――ねぇシン、今でもチェギョンが好きだって言ったら君はどうするかな…?―― 電話が鳴った。 滅多にならない家電。 この番号を知っているのはごくわずかな人間であり、身近な人間。 ユルはその時、ゆったりとソファに座り、優雅に紅茶を飲んでいた。 「Hel…

Fireworks-夏の風物詩-7.

ガンヒョンはパチパチと自分に注目するよう手を叩いた。 もちろんその周りのものは何事かと思い、注目したのはいうまでもない。 「殿下・・・、そこにいらっしゃるのならこのテーブルに置かれた食べ物。 御曹司たちがいるところに運んでくださらないかしら?…

Fireworks-夏の風物詩-6.

「シン君、どうしてわかったの?私、全然花火のこと言ってなかったでしょ?」 チェギョンは不思議だった。 全く今年はその手の話をしていない。 なのにどうして彼は気がついたのか? 「今年は・・・だろ?去年はうるさく言ってたくせに。 それに、いつも通る…

Fireworks-夏の風物詩-5.

シンはチェギョンを自分の車の助手席に乗せ、発進した。 もちろんその後ろから少人数の翊衛士を従えて。 市街地はもうこの時間すでに賑わっているだろうから・・・とファンに渡された迂回路を通り抜ける。 チェギョンは通常通るはずのない細い路地などを抜け…

Fireworks-夏の風物詩-4.

とうとう花火大会当日を迎えた。 チェギョンは早々と課題の絵を仕上げてしまっていた。 シンもたまっていた書類などもすべて完了し、二人して久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしていた。 昨夜は二人ともめくるめく官能の世界に身体を預け、久しぶりと言わ…

Fireworks-夏の風物詩-3.

それからというものシンは忙しい日々を送るようになった。 チェギョンはというとそんな忙しく動きか回るシンを影では心配していた。 彼女も彼女で大学で出された課題をもくもくと公務の間をぬって行っていた。 チェギョンは皇立大学総合デザイン科に在籍して…

Fireworks-夏の風物詩‐2.

シンは一人決済の書類が溜まっているからと言い訳をし、執務室にこもった。 ――どうすればいいのか?どうすればチェギョンを花火に連れてってやれる?―― 毎年のごとく、翌日の新聞には花火大会に関する記事が紙面を飾る。 どのくらいの人間が来ただの、交通網…

Fireworks-夏の風物詩-1.

今年も例年のような夏が来た。 夏と言えば、海、プール、祭り、花火、寝坊。 夏の醍醐味という単語はいくつも出てくる。 しかし、今、公用車に乗っている皇太弟妃シン・チェギョンには夏と言えば公務が盛んになるときとしか思えない。 昨年、マカオから許さ…