ある日のエスコート。
「今日はいい天気だったわね~。」
公務を終え、車の中でそんなことを思う。
嫁いできて早20年。
生まれたときから嫁ぐまでの実家で過ごした年月よりも長く宮廷生活を送ってしまっていた。
長いような短いような…。
その間に子供を5人も産み、今も育てている最中。
苦しかったことも悲しかったこともたくさんあるが、喜びも楽しさもそれ以上にたくさんあった。
夫となった彼と一緒に悩みながらも互いを尊敬し、共に歩んできた。
何度喧嘩しただろう。
でも、何度抱き合っただろう。
数え切れないほど、抱えきれないほどの愛情を互いに示してきた。
この風景のように走馬灯のように思い出される日々。
彼女はフッと思わず笑った。
いつの間にか車は宮廷に入り、車止めに止まった。
翊衛士が通常ドアを開けるのだが、今回は違った。
見慣れた手、見慣れた背の高さ。
彼だった。
差し出された手の上に自分の手を置く。
まるでお姫様になった気分だ。
そんなことを思いながら、エスコートしてくれる彼に委ねる。
「お帰り。」
その一言がとてもうれしい。
どうして?
なぜ?
一度もこんなことをしてくれたことはない。
別々の公務が入っているときはどちらかが遅いか早いかで、すれ違ってしまう。
「ただいま。どうしたの?どんな風の吹きまわし?」
青天の霹靂。
天変地異の前触れ。
「怪しむなよ。さっき俺も帰ってきたんだ。
もう少しでお前が帰るって連絡が入ったから待っていたんだ。
公務でお疲れの皇后様を労わろうと思ってな。」
そう言ってほほ笑まれたら悪い気はしない。
怪しいと目をしかめていたが、思わずそんな彼の珍しい気遣いに顔の筋肉が緩む。
「あら、うれしいわ。朝から一人で公務に励んでた甲斐があったわ。」
お互いの顔を見て微笑みながら、エスコートされ自分たちが住む宮まで歩いていく。
ほんの少しの間。
でも、とても貴重な時間。
子供たちにも邪魔されず、誰にも邪魔されずに歩いていく。
後ろからは翊衛士たちや内官、女官がぞろぞろと歩いていく。
彼らも自分たちの主人の光景に微笑ましく見つめる。
「パパ、ママ、お帰りなさい!!」
遠くから玄関口で今か今かと待っていた子供たちが手を振っているのが見えた。
元気いっぱいの子供たち。
どちらに似たのだろうと二人とも思う。
「皇帝陛下、ここまでですね。さて、パパとママに戻りますか?」
エスコートされていた手を今度は握りしめなおし、子供たちに向かって手を振る。
「そうだな。皇后、また夜にな。」
意味深発言をし、彼は子供たちに向かって同じように手を振る。
イヤは汗が背中を伝う。
喜ぶべきか、悲しむべきか。
彼が普段しないことをするときは注意しておこう。
いたらぬことを考えていそうな夫の背中を見ながらそんなことを心の底から思った。
さて、夜はいかがだったのか?
それは二人だけしか知らない。
オワリ。
公務を終え、車の中でそんなことを思う。
嫁いできて早20年。
生まれたときから嫁ぐまでの実家で過ごした年月よりも長く宮廷生活を送ってしまっていた。
長いような短いような…。
その間に子供を5人も産み、今も育てている最中。
苦しかったことも悲しかったこともたくさんあるが、喜びも楽しさもそれ以上にたくさんあった。
夫となった彼と一緒に悩みながらも互いを尊敬し、共に歩んできた。
何度喧嘩しただろう。
でも、何度抱き合っただろう。
数え切れないほど、抱えきれないほどの愛情を互いに示してきた。
この風景のように走馬灯のように思い出される日々。
彼女はフッと思わず笑った。
いつの間にか車は宮廷に入り、車止めに止まった。
翊衛士が通常ドアを開けるのだが、今回は違った。
見慣れた手、見慣れた背の高さ。
彼だった。
差し出された手の上に自分の手を置く。
まるでお姫様になった気分だ。
そんなことを思いながら、エスコートしてくれる彼に委ねる。
「お帰り。」
その一言がとてもうれしい。
どうして?
なぜ?
一度もこんなことをしてくれたことはない。
別々の公務が入っているときはどちらかが遅いか早いかで、すれ違ってしまう。
「ただいま。どうしたの?どんな風の吹きまわし?」
青天の霹靂。
天変地異の前触れ。
「怪しむなよ。さっき俺も帰ってきたんだ。
もう少しでお前が帰るって連絡が入ったから待っていたんだ。
公務でお疲れの皇后様を労わろうと思ってな。」
そう言ってほほ笑まれたら悪い気はしない。
怪しいと目をしかめていたが、思わずそんな彼の珍しい気遣いに顔の筋肉が緩む。
「あら、うれしいわ。朝から一人で公務に励んでた甲斐があったわ。」
お互いの顔を見て微笑みながら、エスコートされ自分たちが住む宮まで歩いていく。
ほんの少しの間。
でも、とても貴重な時間。
子供たちにも邪魔されず、誰にも邪魔されずに歩いていく。
後ろからは翊衛士たちや内官、女官がぞろぞろと歩いていく。
彼らも自分たちの主人の光景に微笑ましく見つめる。
「パパ、ママ、お帰りなさい!!」
遠くから玄関口で今か今かと待っていた子供たちが手を振っているのが見えた。
元気いっぱいの子供たち。
どちらに似たのだろうと二人とも思う。
「皇帝陛下、ここまでですね。さて、パパとママに戻りますか?」
エスコートされていた手を今度は握りしめなおし、子供たちに向かって手を振る。
「そうだな。皇后、また夜にな。」
意味深発言をし、彼は子供たちに向かって同じように手を振る。
イヤは汗が背中を伝う。
喜ぶべきか、悲しむべきか。
彼が普段しないことをするときは注意しておこう。
いたらぬことを考えていそうな夫の背中を見ながらそんなことを心の底から思った。
さて、夜はいかがだったのか?
それは二人だけしか知らない。
オワリ。