伝えたい言葉
人は一人では生きられない。
誰かが言っていた言葉だ。
そう、一人では生きられない。
そう、もう一人では…。
もし、チェギョンに出会わなければ、俺は今も孤独の世界にいたのだろうか?
今もあの奈落の底、奥深くに・・・。
チェギョンが明るい光を僕に照らし、梯子があることを、登れることを教えてくれた。
必死に登り、手を差し伸べて、明るい世界へと導いてくれた。
あいつはそれまで粘りに粘った。
俺はあそこはとても居心地がよかったから・・・。
いいや…梯子があることは知っていた。
でも、それでも誰かを待っていたのだ。
俺に皇族という地位も名誉も関係なく、ただ「イ・シン」と見ていてくれる相手を…。
なのに、なのに・・・愚かな俺はそんな彼女を手放してしまった。
守らなきゃいけなかったのはこっちなのに…。
守られていたのは俺のほうだった。
こんな日は声を無性に聴きたくなる。
ただただ「俺だ。元気か?」と聴けばいいのに・・・。
その言葉さえも紡ぎだすことができない。
「ハイ、もしもし…」
『ハ~イ!シン君!』
こんなとき、絶妙なタイミングで電話がかかってくる。
俺の調子をわかっているかのように…。
どこかに隠しカメラでもあるのか、と思わず探したくなる。
『調子はどう?』
「悪いよ」と言いたい。
「お前がそばにいないから・・・」と言いたい。
でも言わない。
言えないほうが正しい。
「まあまあだ。お前は元気一杯みたいだな。」
そんなことを言うと、電話口でケラケラ笑ってる。
『元気よ~。だって、シン君、すぐに電話に出てくれたし、声聴けたし・・・。だから元気なの。』
「俺はお前の元気の源か?」
『そうよ。シン君の声はとても私を元気にさせてくれるの。シン君は元気になった?』
「どうして?」と聞きたい。
「なんで?」と聞きたい。
「もともと元気だ。病気らしいものもなってないし。いたって健康体だ!」
言葉を濁す。
でも、きっと彼女は知ってる。
知っていながらそんなことを言う俺は素直じゃないと自分自身思う。
「・・・そう。それならよかった。この前ね、公務の様子がこっちで流れてたの。
思わずボーっと見ちゃったわ。キャ、恥ずかしい!」
きっと電話口越しに百面相してる。
きっと顔は真っ赤だ。
そうやって彼女は俺を笑わす。
顔を笑顔にさせてしまう。
「惚れたか?」
ついでに聞いてみた。
聞いてみたかった。
素直な思いを。
『うん。』
言葉を濁すわけでもなく、少し考えてからの答えでもなく、即答。
「・・・・・・。」
俺のほうが準備ができていなくて、無言になってしまった。
『かっこよかった。『会いたいな』て思うよ。』
少し悲しそうな声。
こんな風にさせたのは俺なのに…。
「俺も会いたいよ。今、どんな顔をしているのかこの目で見たい。」
マカオと韓国で離れ離れになってから、『会いたい』なんて言葉を彼女は一度も出さなかった。
お互いに言いたかった。
言い合いたかった。
でも、そんなことを言ったらお互いに困るだけ、泣くだけ…。
声は聞けるのに、抱きしめることも涙を拭いてやることもできない。
だから今まで言わなかった。
言うことができなかった。
『めっずらしい~!シン君がやけに素直じゃん。こっわいわ~』
あいつは空元気にそう囃し立てる。
でも少し声のトーンが違う。
きっと泣いてる。
泣き虫な彼女だから。
「チェギョン…。」
『ん?』
「愛してる。」
面と向かって言えないけど、電話越しでしか今は言えないけど、戻ってきたら何度も顔をあわせて言ってやる。
「おい!何か言えよ。無言はつらい・・・。」
チェギョンは何も言わない。
『シン君、素直すぎ・・・。なんか変なもの食べた?』
「お前じゃあるまいし。」
『ひっどーい。じゃあどっか頭でも打ったのね。お大事に~皇太子殿下。プチッ』
後はツーツーツーという音だけになった。
「おい!」と言いたかったが、俺は笑った。
大声で笑っていた。
でも、途中から笑いながら泣いていた。
おかしいから笑ったのか、それとも・・・なのか、もうわけがわからなくなった。
そんな時にコン内官がやってきた。
『皇帝陛下より至急お越しください』と。
一体なんの用なのだろう?
見当はつかなかったが、廊下を歩き、皇帝である姉の執務室へ出向いた。
そこで待っていたものは、「大皇太后であるお祖母様とマカオへ行くように」との命令なのか、それとも今までの俺への餞別なのか。
チェギョンに会える。
面と向かって言える。
「愛してる」と。
伝えよう。
彼女に面と向かって、言いたいことを、伝えたいことを…。
でも、あいつには当日まで内緒!
どんな顔をするんだろうか?
びっくりするのだろうか?
楽しみだ。
終わり。
誰かが言っていた言葉だ。
そう、一人では生きられない。
そう、もう一人では…。
もし、チェギョンに出会わなければ、俺は今も孤独の世界にいたのだろうか?
今もあの奈落の底、奥深くに・・・。
チェギョンが明るい光を僕に照らし、梯子があることを、登れることを教えてくれた。
必死に登り、手を差し伸べて、明るい世界へと導いてくれた。
あいつはそれまで粘りに粘った。
俺はあそこはとても居心地がよかったから・・・。
いいや…梯子があることは知っていた。
でも、それでも誰かを待っていたのだ。
俺に皇族という地位も名誉も関係なく、ただ「イ・シン」と見ていてくれる相手を…。
なのに、なのに・・・愚かな俺はそんな彼女を手放してしまった。
守らなきゃいけなかったのはこっちなのに…。
守られていたのは俺のほうだった。
こんな日は声を無性に聴きたくなる。
ただただ「俺だ。元気か?」と聴けばいいのに・・・。
その言葉さえも紡ぎだすことができない。
「ハイ、もしもし…」
『ハ~イ!シン君!』
こんなとき、絶妙なタイミングで電話がかかってくる。
俺の調子をわかっているかのように…。
どこかに隠しカメラでもあるのか、と思わず探したくなる。
『調子はどう?』
「悪いよ」と言いたい。
「お前がそばにいないから・・・」と言いたい。
でも言わない。
言えないほうが正しい。
「まあまあだ。お前は元気一杯みたいだな。」
そんなことを言うと、電話口でケラケラ笑ってる。
『元気よ~。だって、シン君、すぐに電話に出てくれたし、声聴けたし・・・。だから元気なの。』
「俺はお前の元気の源か?」
『そうよ。シン君の声はとても私を元気にさせてくれるの。シン君は元気になった?』
「どうして?」と聞きたい。
「なんで?」と聞きたい。
「もともと元気だ。病気らしいものもなってないし。いたって健康体だ!」
言葉を濁す。
でも、きっと彼女は知ってる。
知っていながらそんなことを言う俺は素直じゃないと自分自身思う。
「・・・そう。それならよかった。この前ね、公務の様子がこっちで流れてたの。
思わずボーっと見ちゃったわ。キャ、恥ずかしい!」
きっと電話口越しに百面相してる。
きっと顔は真っ赤だ。
そうやって彼女は俺を笑わす。
顔を笑顔にさせてしまう。
「惚れたか?」
ついでに聞いてみた。
聞いてみたかった。
素直な思いを。
『うん。』
言葉を濁すわけでもなく、少し考えてからの答えでもなく、即答。
「・・・・・・。」
俺のほうが準備ができていなくて、無言になってしまった。
『かっこよかった。『会いたいな』て思うよ。』
少し悲しそうな声。
こんな風にさせたのは俺なのに…。
「俺も会いたいよ。今、どんな顔をしているのかこの目で見たい。」
マカオと韓国で離れ離れになってから、『会いたい』なんて言葉を彼女は一度も出さなかった。
お互いに言いたかった。
言い合いたかった。
でも、そんなことを言ったらお互いに困るだけ、泣くだけ…。
声は聞けるのに、抱きしめることも涙を拭いてやることもできない。
だから今まで言わなかった。
言うことができなかった。
『めっずらしい~!シン君がやけに素直じゃん。こっわいわ~』
あいつは空元気にそう囃し立てる。
でも少し声のトーンが違う。
きっと泣いてる。
泣き虫な彼女だから。
「チェギョン…。」
『ん?』
「愛してる。」
面と向かって言えないけど、電話越しでしか今は言えないけど、戻ってきたら何度も顔をあわせて言ってやる。
「おい!何か言えよ。無言はつらい・・・。」
チェギョンは何も言わない。
『シン君、素直すぎ・・・。なんか変なもの食べた?』
「お前じゃあるまいし。」
『ひっどーい。じゃあどっか頭でも打ったのね。お大事に~皇太子殿下。プチッ』
後はツーツーツーという音だけになった。
「おい!」と言いたかったが、俺は笑った。
大声で笑っていた。
でも、途中から笑いながら泣いていた。
おかしいから笑ったのか、それとも・・・なのか、もうわけがわからなくなった。
そんな時にコン内官がやってきた。
『皇帝陛下より至急お越しください』と。
一体なんの用なのだろう?
見当はつかなかったが、廊下を歩き、皇帝である姉の執務室へ出向いた。
そこで待っていたものは、「大皇太后であるお祖母様とマカオへ行くように」との命令なのか、それとも今までの俺への餞別なのか。
チェギョンに会える。
面と向かって言える。
「愛してる」と。
伝えよう。
彼女に面と向かって、言いたいことを、伝えたいことを…。
でも、あいつには当日まで内緒!
どんな顔をするんだろうか?
びっくりするのだろうか?
楽しみだ。
終わり。