葵香の勝手 宮小説の世界

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パパの日デー in 冬の日⑤

昼食を済ませ、雪だるま作りを早々と開始した。

やはり、冬の日は日照時間が短く、子供たち自身も朝から遊んでいるので、体力はさっそうときれるだろうという大人たちの考えであった。

しかし、大人たち自身も通常あまり運動しないので、そろそろガタが来そうなのである。

家族それぞれに分かれ、雪だるまを作り、顔を描いていく。

そのあたりに落ちている木々を使ったり、池のまわりにある小石を使ったり、はたまた使っていた手袋をはめたり、思い思いに描いていく。

シンたちはもうひとつ別の雪だるまを作った。

チェギョンが描くためである。

陽が傾く前にチェギョンを呼び寄せ、飾りたい道具を指示させ、動いていく。

住まいからお玉を持ってきてくれと無茶苦茶な注文もあったが。

そんなものはかわいいものだった。

「これで終わりか?」

チェギョンも終わったところで、みなに声を掛ける。

ところどころ修繕する者もあれば、もう終ってもう一度小さな雪だるまを作っている者さえもいた。

皆を集め、先に迎賓館へ帰らせ、シンはコン内官に何か指示した。

帰ってくると、チェギョンに問われた。

「シン君、これをどうするの?」

作った者たちは皆どうするのか疑問に思っていた。

「作った雪だるまに番号を付けて、写真を撮ったんだ。前と後ろをそれぞれ。
 1番は誰の作品と分かるように。けれど、わかっているのは俺だけ。
 そして、チェギョン。お前にはそれぞれを評価してもらう。
 ただし、先ほども言ったように誰のかはわからずに。
 それを明日から大晦日まで、宮廷内のイントラネットに載せる。
 下々の者からみなどれが一番いいかを投票してもらう。
 コメントも必須で。
 もちろん、一等賞の作品には何かご褒美を考えよう。
 コメントに関しては、そうだな、年明けの1月の4日くらいに皆で集まってもらって、
 自分のものに寄せられたコメントを見て、好きなのをひとつ決めてくれ。
 そのコメントをよこした者に、1年のいつでもいい。好きな時に休みを取れるようにしよう。
 本来なら、元旦なんて休みだと思うけど、ここではそうはいかないからな。」

――どうだ?――

と言い終わって、そう言わんばかりの顔を周囲の者に寄せたとき、みなとてもいい顔をしていた。

それぞれ顔を見合って、微笑んでいた。

了解してくれたらしい。

シンは早速暗室へと足を運び、写真を焼き、チェギョンに見せた。

評価をそれぞれつけ、それをシン自身がパソコンに写真とともに載せ、イントラネットへ配信した。

配信した次の日に、下々の者に伝えられ、みなこぞってそのかわいらしい雪だるまを見た。

そして、自分の気に入った雪だるまに投票し、コメントを書き込んだ。

「お休みが取れる」というご褒美は知らされずに・・・。


かわいらしい雪だるまたちは、それから多くのパソコンの壁紙を飾ったとか・・・。





fin.