リアの誕生―ep.5
府院君はチェギョンの陣痛が始まると、ずっと台所にいて、湯を沸かしたり、食事を作ったりしていた。
それしかできないからであるが。
ソヨが胎盤を持ってくると、悲鳴をあげた。
そしてどけと言わんばかりに、台所を占領されてしまった。
オロオロするばかりだったが、
「このボンクラ親父。ほれ、食べてみるか?」
それは胎盤を刺身にした一切れだった。
ひょいっと箸でさしだされても、彼はギョッとし、顔を左右に振った。
するとそこへ、シンがやってきた。
「では、わたくしめが。」
と変わりに受取り、食してみた。
コリコリとしてレバーのようだった。
「お父様、おいしいですよ。コン内官もいかがですか?」
言われたコン内官も恐れ多く、引くばかりだった。
そこへレイとメイがやってきた。
「パパ、食べてみる~。」
「食べる~」
いつもチェギョンの実家に来ると何かしら宮廷内で食べられない料理が出てくる。
その性か、何が出てきても食べるようになり、びっくりしなくなった。
シンはソヨから刺身になった胎盤を受け取り、机に置いた。
子供たちを府院君に任せ、チェギョンの様子を見に行った。
部屋に入ると、ちょうどリアに授乳中だった。
「シン君、リアはとっても幸せ者だね。みんなに、家族に見守られながら生まれてきたんだから。」
授乳の横にやってきたシンに、その頭上からチェギョンはそんなことを言う。
「ああ、そうだな。今回もお疲れ様。よくがんばったな。」
「いつもシン君がそう言ってくれるから、がんばれるんだ。こちらこそ、ありがとう。」
その顔はやはり母の顔だった。
飲み終わり、げっぷをさせ、服を着させる。
まだまだ小さい身体。とても愛らしい顔。
「チェギョン、みなリビングで食事をしているが、食べるか?」
前の日の夜から陣痛のため、シンもチェギョンもまったく食べてはいなかった。
「お腹減った。」
チェギョンは簡潔に答えた。
スンレを呼んで、リアをリビングへ連れて行ってくれるように頼む。
チェギョンはシンにお姫様だっこされ、リビングへ行った。
ソファーにゆっくりと座ると、その前には胎盤のお刺身が置かれていた。
そっとおびえながら一口口にいれ、コリコリと噛んでいった。
やはり、彼女の第一声は「おいしい!」だった。
チェギョンは一切れ掴むと、それをシンの口へと持っていった。
シンは平気でそれを食べ、子供たちもそのやり取りを見てもいつものことのようで、
仲良く家族4人で食べていた。
残りは冷凍され、後日宮廷へ運ばれることになった。
結局府院君は食べたのか?
結局、娘であるチェギョンに勧められ、食べることになった。
おいしいとは思わなかったが、なんとも摩訶不思議な感覚だった。
コン内官はと言うと、「宮廷へ報告してまいります」とそそくさと立ち去った。
やはり恐れ多くも、ましてや皇后さまのものを食べるなどと彼にはできなかったようである。
つづく・・・
それしかできないからであるが。
ソヨが胎盤を持ってくると、悲鳴をあげた。
そしてどけと言わんばかりに、台所を占領されてしまった。
オロオロするばかりだったが、
「このボンクラ親父。ほれ、食べてみるか?」
それは胎盤を刺身にした一切れだった。
ひょいっと箸でさしだされても、彼はギョッとし、顔を左右に振った。
するとそこへ、シンがやってきた。
「では、わたくしめが。」
と変わりに受取り、食してみた。
コリコリとしてレバーのようだった。
「お父様、おいしいですよ。コン内官もいかがですか?」
言われたコン内官も恐れ多く、引くばかりだった。
そこへレイとメイがやってきた。
「パパ、食べてみる~。」
「食べる~」
いつもチェギョンの実家に来ると何かしら宮廷内で食べられない料理が出てくる。
その性か、何が出てきても食べるようになり、びっくりしなくなった。
シンはソヨから刺身になった胎盤を受け取り、机に置いた。
子供たちを府院君に任せ、チェギョンの様子を見に行った。
部屋に入ると、ちょうどリアに授乳中だった。
「シン君、リアはとっても幸せ者だね。みんなに、家族に見守られながら生まれてきたんだから。」
授乳の横にやってきたシンに、その頭上からチェギョンはそんなことを言う。
「ああ、そうだな。今回もお疲れ様。よくがんばったな。」
「いつもシン君がそう言ってくれるから、がんばれるんだ。こちらこそ、ありがとう。」
その顔はやはり母の顔だった。
飲み終わり、げっぷをさせ、服を着させる。
まだまだ小さい身体。とても愛らしい顔。
「チェギョン、みなリビングで食事をしているが、食べるか?」
前の日の夜から陣痛のため、シンもチェギョンもまったく食べてはいなかった。
「お腹減った。」
チェギョンは簡潔に答えた。
スンレを呼んで、リアをリビングへ連れて行ってくれるように頼む。
チェギョンはシンにお姫様だっこされ、リビングへ行った。
ソファーにゆっくりと座ると、その前には胎盤のお刺身が置かれていた。
そっとおびえながら一口口にいれ、コリコリと噛んでいった。
やはり、彼女の第一声は「おいしい!」だった。
チェギョンは一切れ掴むと、それをシンの口へと持っていった。
シンは平気でそれを食べ、子供たちもそのやり取りを見てもいつものことのようで、
仲良く家族4人で食べていた。
残りは冷凍され、後日宮廷へ運ばれることになった。
結局府院君は食べたのか?
結局、娘であるチェギョンに勧められ、食べることになった。
おいしいとは思わなかったが、なんとも摩訶不思議な感覚だった。
コン内官はと言うと、「宮廷へ報告してまいります」とそそくさと立ち去った。
やはり恐れ多くも、ましてや皇后さまのものを食べるなどと彼にはできなかったようである。
つづく・・・