家族がいる幸せ。
3月14日。
もう少しで昼になろうかという時間にシンたち夫婦と子供たち、そしてヒョン殿下とミン妃、太皇太后様が集まった。
子供たちは小さなランチボックスを抱え、先頭を切って歩き出す。
目的地は宮廷内の庭のどこか。
その場所は子供たちがどこにするかを決める権限を持っていた。
前の晩にそう決めたのだった。
シンとチェギョンは手を繋ぎながら、子供たちの後ろを歩く。
リアはミンに抱かれ、おとなしく眠っている。
ヒョンはちょっと大きいランチボックスを抱えてミンの横を歩いていた。
太皇太后様であるおおおばあちゃまはゆっくりゆっくりと歩く。
もちろん後ろにはコン内官をはじめチェ尚宮などお仕えのものが歩く。
「レイ、メイ、ゆっくり歩いてねー。」
そうチェギョンは声をかけるが、子供たちは家族全員が集まることはやはり嬉しいのか、先へ先へ進んでしまう。
その様子をしょうがないなと思いながら見守るシンだった。
「迷子になるなよ~!」
その注意だけは忘れない。
迷子になることはこの二人ならなることはないと思うが・・・。
子供たちは振り返って、「ハーイ」と返事をする。
どのくらい歩いたのか。
やっといい場所を見つけ、マットを引いて囲むように座った。
そして真ん中に朝作ったばかりのサンドイッチを並べた。
「「「「「「「いっただきまーす」」」」」」」
まるで合唱のように皆揃って言う。
そしてやはり一番にサンドイッチに手をつけたのは子供たち。
「ゆっくり食べれよ。」
シンは一応注意する。
でも聞かないこともわかっている。
「のどに詰まらせないようにね。」
チェギョンも一応言って聞かせてみるが、聞かないものわかってる。
そう注意した途端にレイは入れすぎたのかのどに詰まらせ、咳をする。
言わんこっちゃない。
シンもチェギョンもそう思ったが、後の祭りだ。
シンは背中をさすり、チェギョンは飲み物を口まで持ってくる。
周りのものはその姿を微笑ましく見ている。
「お兄ちゃんだけいいな~。」
甲斐甲斐しく兄の面倒を見ている両親を見て、妹はのんきにそう言った。
太皇太后様をはじめ、皆その突拍子もないメイの言葉に笑った。
「あら、メイ。構ってもらえなくって寂しいの?」
チェギョンは笑ってそう言って、ぎゅっとメイを抱きしめる。
サンドイッチを一つとって、娘の口まで持っていく。
「おいしい?」と聞くと「おいしい」と答えるメイ。
チェギョンは頭を数回撫でた。
「メイ、お前だけずるい。」
今度はレイがつかさず言う始末。
「お兄ちゃんはパパがいるからいいじゃない?」
メイは久しぶりに母に甘えてるので、それを兄と言えども取られまいとそう言い放つ。
兄弟げんかが始まるのか?と太皇太后様は興味津々。
「はいはい、わかった。もうその辺でやめー。
じゃあこうしましょう。今日の夜、パパのベッドでみんなで寝ちゃうっていうのはどう?
賛成するひと~?」
チェギョンの掛け声にレイもメイも手を上げる。
チェギョンはシメシメと思った。
これで恐怖の夜は送らなくてもいい。
子供を山車に使う。
でも内心、シンに「ごめんなさい」は何度と泣く言う。
「3対1。ということでシン君、川の字で寝るからね。リアはベビーベッドだけど。」
シンはふーッとため息を一度した。
これでは勝てないことはわかっている。
やりやがったな。
内心怒りがこみ上げてくるが、まあこんなこともたまにあってもいいだろうとケロリとそう思ってしまう。
それはチェギョンのなせる業なのだろうが、釘を刺すことを忘れない。
「わかった。わかった。だけど、チェギョン。次は覚えてろよ。」
そのなんとも低い声で言われ、チェギョンは背中にスーッと汗が流れ出したことは言うまでもない。
次はどの手で立ち向かおうか?
はるか彼方を見るが、その答えは一生でない。
子供たちはそんな両親の思惑など露ともせず、久しぶりに両親と一緒に眠れることをとても嬉しそうにしていた。
和やかなランチとピクニックは続く。
両親にべたべたくっつく子供たち。
時にシンに肩車されたり、ぎゅっと抱きついたり、手を引っ張ったり。
レイとメイはかけっこをはじめた。
そんな光景をシンはとても楽しく見ていた。
するとそこへチェギョンが隣へやってきた。
「シン君、楽しいね。今日は私たちがプレゼントを貰ったね。」
チェギョンは子供たちの健やかな成長を見ながらそう思った。
皇帝として皇后としてそれぞれの職務に邁進している日々。
子供たちが近くにいてもすべてを見れるわけではない。
けれどそんな中で子供たちは素直に育っている。
両親の愛情と家族の愛情を一心に受けて。
シンはチェギョンを抱き寄せた。
「チェギョン、ありがとう。」
この言葉しか浮かばない。
「ありがとう。」
チェギョンもシンに向かってそう言った。
それしか彼女も浮かばなかった。
これに勝る言葉はない。
「パパ~、ママ~、鬼ごっこやろう。」
はるか先を行っている息子からお願いがかかる。
「行くぞ。」
シンはチェギョンの手を引いて、子供たちの方へ向かった。
終わり。
もう少しで昼になろうかという時間にシンたち夫婦と子供たち、そしてヒョン殿下とミン妃、太皇太后様が集まった。
子供たちは小さなランチボックスを抱え、先頭を切って歩き出す。
目的地は宮廷内の庭のどこか。
その場所は子供たちがどこにするかを決める権限を持っていた。
前の晩にそう決めたのだった。
シンとチェギョンは手を繋ぎながら、子供たちの後ろを歩く。
リアはミンに抱かれ、おとなしく眠っている。
ヒョンはちょっと大きいランチボックスを抱えてミンの横を歩いていた。
太皇太后様であるおおおばあちゃまはゆっくりゆっくりと歩く。
もちろん後ろにはコン内官をはじめチェ尚宮などお仕えのものが歩く。
「レイ、メイ、ゆっくり歩いてねー。」
そうチェギョンは声をかけるが、子供たちは家族全員が集まることはやはり嬉しいのか、先へ先へ進んでしまう。
その様子をしょうがないなと思いながら見守るシンだった。
「迷子になるなよ~!」
その注意だけは忘れない。
迷子になることはこの二人ならなることはないと思うが・・・。
子供たちは振り返って、「ハーイ」と返事をする。
どのくらい歩いたのか。
やっといい場所を見つけ、マットを引いて囲むように座った。
そして真ん中に朝作ったばかりのサンドイッチを並べた。
「「「「「「「いっただきまーす」」」」」」」
まるで合唱のように皆揃って言う。
そしてやはり一番にサンドイッチに手をつけたのは子供たち。
「ゆっくり食べれよ。」
シンは一応注意する。
でも聞かないこともわかっている。
「のどに詰まらせないようにね。」
チェギョンも一応言って聞かせてみるが、聞かないものわかってる。
そう注意した途端にレイは入れすぎたのかのどに詰まらせ、咳をする。
言わんこっちゃない。
シンもチェギョンもそう思ったが、後の祭りだ。
シンは背中をさすり、チェギョンは飲み物を口まで持ってくる。
周りのものはその姿を微笑ましく見ている。
「お兄ちゃんだけいいな~。」
甲斐甲斐しく兄の面倒を見ている両親を見て、妹はのんきにそう言った。
太皇太后様をはじめ、皆その突拍子もないメイの言葉に笑った。
「あら、メイ。構ってもらえなくって寂しいの?」
チェギョンは笑ってそう言って、ぎゅっとメイを抱きしめる。
サンドイッチを一つとって、娘の口まで持っていく。
「おいしい?」と聞くと「おいしい」と答えるメイ。
チェギョンは頭を数回撫でた。
「メイ、お前だけずるい。」
今度はレイがつかさず言う始末。
「お兄ちゃんはパパがいるからいいじゃない?」
メイは久しぶりに母に甘えてるので、それを兄と言えども取られまいとそう言い放つ。
兄弟げんかが始まるのか?と太皇太后様は興味津々。
「はいはい、わかった。もうその辺でやめー。
じゃあこうしましょう。今日の夜、パパのベッドでみんなで寝ちゃうっていうのはどう?
賛成するひと~?」
チェギョンの掛け声にレイもメイも手を上げる。
チェギョンはシメシメと思った。
これで恐怖の夜は送らなくてもいい。
子供を山車に使う。
でも内心、シンに「ごめんなさい」は何度と泣く言う。
「3対1。ということでシン君、川の字で寝るからね。リアはベビーベッドだけど。」
シンはふーッとため息を一度した。
これでは勝てないことはわかっている。
やりやがったな。
内心怒りがこみ上げてくるが、まあこんなこともたまにあってもいいだろうとケロリとそう思ってしまう。
それはチェギョンのなせる業なのだろうが、釘を刺すことを忘れない。
「わかった。わかった。だけど、チェギョン。次は覚えてろよ。」
そのなんとも低い声で言われ、チェギョンは背中にスーッと汗が流れ出したことは言うまでもない。
次はどの手で立ち向かおうか?
はるか彼方を見るが、その答えは一生でない。
子供たちはそんな両親の思惑など露ともせず、久しぶりに両親と一緒に眠れることをとても嬉しそうにしていた。
和やかなランチとピクニックは続く。
両親にべたべたくっつく子供たち。
時にシンに肩車されたり、ぎゅっと抱きついたり、手を引っ張ったり。
レイとメイはかけっこをはじめた。
そんな光景をシンはとても楽しく見ていた。
するとそこへチェギョンが隣へやってきた。
「シン君、楽しいね。今日は私たちがプレゼントを貰ったね。」
チェギョンは子供たちの健やかな成長を見ながらそう思った。
皇帝として皇后としてそれぞれの職務に邁進している日々。
子供たちが近くにいてもすべてを見れるわけではない。
けれどそんな中で子供たちは素直に育っている。
両親の愛情と家族の愛情を一心に受けて。
シンはチェギョンを抱き寄せた。
「チェギョン、ありがとう。」
この言葉しか浮かばない。
「ありがとう。」
チェギョンもシンに向かってそう言った。
それしか彼女も浮かばなかった。
これに勝る言葉はない。
「パパ~、ママ~、鬼ごっこやろう。」
はるか先を行っている息子からお願いがかかる。
「行くぞ。」
シンはチェギョンの手を引いて、子供たちの方へ向かった。
終わり。