葵香の勝手 宮小説の世界

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LOVE PHANTOM episode 13

「その絵ね、教室貸し切って陛下呼び出して、お披露目したんだ。
 チェギョンに頼まれたからね。
 だからみんなその願いを叶えたんだ。その絵を見た途端陛下は崩れ落ちたよ。
 泣きながら崩れ落ちたんだ。チェギョンの名前呼びながら。
 一緒に懺悔しながら。私たちもつられて泣いちゃったけど。
 マカオに行って一週間後ぐらい経ったころだったかな。」

そんなことをガンヒョンは言う。

「その時に言われたんだ。廃妃になったと。
 そして彼女のお腹には自分の子供がいると。
 イギリスに知り合いがいるから逃がすと。
 皇室の人間の誰かが知れば、彼女と子供は引き裂かれ、子供だけが自分のもとに来る。
 そんな思いはしたくないし、犠牲を払いたくはないと。
 協力してくれと言われたから俺たちは協力した。」

ギョンがそう言ったので、これですべての合点がいったとチェヨンは思った。

イギリスにいる知り合い。

それはシンの従兄弟であるユルともう一人。

そのもう一人は、昔シンに英語を教えていた専属教師、マーズ・フリーシアのことだった。

彼女は今シン・チェギョン親子と暮らしている。

韓国語もすらすら話せるらしい。

その彼女から故郷の話を聞いた。

そしていつか行ってみたいと思った。

その場所へ最愛の人を送った。

「倒れたんだろう?アイツ。限界だったんだな。
 よく20年も耐えたもんだ。それもこれもチェヨンがいたからだろうな。」

インは的確に言う。

国内外に伏せられているその事実。

関係者以外誰も知らない事実なはずだ。

チェヨン。さっさかイギリスに行ってチェギョン連れて帰れ。それと娘も。
 そこまでは調べてあるんだろう?
 もういいだろう?こんな馬鹿げた騙し合い。
 イ・シンを元に戻してくれよ。あの頃のシンにさ。
 俺たちももうそろそろ限界だったんだ。
 強制的にチェギョンを連れて帰ろうかと話し合っていたころだったんだよ。
 もういいだろう。もう許されてもいいだろう?
 あいつらだけがずっと許されないのはもう耐えられないんだよ。」

インは顔をゆがめて今にも泣きそうな顔をしていた。