葵香の勝手 宮小説の世界

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LOVE PHANTOM episode 14

「あんたたち、なぜ今頃になって話そうと思ったの?」

ヘミョンは今の今まで黙っていたが、その答えを探そうとして聞いた。

インは憐れむように微笑んで答えた。

「あれは…、そうそうあの女が亡くなってすぐ後ぐらいか…。
 シンに言われたんだ。
 『チェヨンは全てを調べつくすだろう。
  もし俺に何かあったときにチェヨンにすべてを話してくれ。』
 と。シン自身も止めたかったはずだ。ジレンマだろう?全て…。
 だから、チェヨン、行けよ。イギリスに。それをシン自身も望んでる。
 そうしてくれ。お願いだから。」

インは頼み込むようにそう口にした。

もう十分だ。

もう十分当の本人たちは苦しんだ。

もう解放されてもいい頃だ。

ヘミョン自身もそう思った。

ハン・ウリを再婚相手に選び、別宅に彼女を住まわせた。

それもわざわざ造って。

いつか聞いたことがある。

「どうして、別宅を作らせたの?」

弟の答えはいたってシンプルだった。

「汚い場所に汚い女がお似合いだろう。」

それは不気味な恐ろしさを醸し出していた。

ハン・ウリが別宅を構えた場所。

それは、あの明善堂の隣りだった。

その場所は彼女が亡くなった後にさら地にされ、何事もなかったようにされている。

そして彼女が贅をしたものすべては、彼女の親戚が今も払い続けている。

それをやらせたのももちろんシンだが。

そこまで徹底的にしたのは、チェヨンが言った事はすべて当たっているのだろう。

弟を鬼と変化させたすべてのもの。

この復讐劇はあまりに緻密で哀しすぎた。

ヘミョンはずっとハン・ウリとシンが夫婦だった時の喧嘩を目の前で見ている。

その時のシンはとても冷酷だった。

よくシンは最後にこう言った。


「お前が望んだんだろう?皇太子妃という地位を。ありがたいだろう?」


おそらく彼女が望み、彼女の父がそのために伯母を使い、チェギョンを廃妃させ、まんまと娘を皇太子妃にさせた。

それをシンは知っていたのだ。

すべてを知っていてハン・ウリを嫁にした。

そこまで人は冷酷に残酷になれるものだろうか?



ここで弟はどれほどの涙を流したのだろう?

誰も知らないこの場所で。

どれだけ痛みを抱えて20年間も生きたのだろう?

それを私たち家族は何も知らないで生きてきた。

いいや、見ようとしなかったのだ。

そのことに。

シン・チェギョンのことを話すこと。

それはこの宮廷で緘口令がひかれていたようにダブーだった、そのことも。