朝のヒトコマ。
目が醒めた。
「お手洗いに行きたい…」
チェギョンの第一声はそれだった。
時計を見ればめざまし時計が鳴るまで1時間ほど早い。
行きたければ抜け出して早く行けばいい。
誰もがそう思うだろうが、問題はどうこの腕から抜け出すかだ。
しかも厄介な相手を起こさずに…。
それが難関だった。
チェギョンもそうだがなかなか寝入ったら梃子でも動かない。
お腹に置かれたこの腕は絡み付きなかなか剥れない。
運良く剥れて内心「ラッキー!」と思うのだか、すぐさま手が伸びてきて捕まえ、もとの定位置に戻されてしまう。
何回かそんなことがあったので、実は彼は起きていて遊ばれているのかと疑っていた。
でも、シンを覗き込むと彼は完全に寝入っていた。
寝ぼけた様子もなかった。
だから厄介なのである。
指を一本一本慎重に剥す。
「ふ~っっ」
汗をかく。
腕をそおっと静かに剥す。
「ふ~っ。」
また汗をかく。
絡み付いた足を剥す。
「ふ~っ。」
またまた汗をかく。
よおし、今日はうまくいきそうだ!
内心ガッツポーズを決めたチェギョンだった。
が、しかしだ。
今日は予期せぬことが起こったのだ。
チェギョンから意図的に剥された人物が笑ってるのだ。
しかも全身震わせて。
しかも声を噛み締めて。
とうとう堪え切れなくなり大笑いし出した。
「もう!起きてるなら起きてると言いなさいよね。労力の無駄でしょうが!」
シンの胸の所を怒りに任せて思いっきり叩いたチェギョン。
「うっっ!」
その先制攻撃に悶えるシン。
「シン君、大丈夫?やりすぎた?」
心配して叩いた所を撫でるチェギョンに対し、またまた笑いを噛み締めるシン。
チェギョンやっとだまされたことがわかった。
毎回毎回この手に騙されるチェギョン。
―いい加減学習能力をつけたらどうだ?―
と呆れるのだが、『もう!』とぷくっと膨れっ面をするチェギョンがかわいくて堪らない。
それ見たさに『騙される方が悪い』とついついやってしまうシンだった。
チェギョンは膨れっ面のままご機嫌斜め。
「おい!シン・チェギョン!抜け出してどこかに行く予定だったんじゃないのか?えぇ?」
その声にやっと自分が剥してまで行きたかったことを思い出したチェギョン。
「あ―、トイレ~!」
「早く行って来い!」
チェギョンの大声に耳に指を入れ、塞ぎ、面倒くさそうに言い放つとシン。
その合図にパタパタと走って行くチェギョンだった。
シンはチェギョンを見送るともうちょっと寝られると思い、眠りの世界へ入って行った。
「殿下、姫宮様、起きてください。」
遠くで誰かの起こす声が聞こえる。
チェギョンは自分のうでの中でスヤスヤ熟睡中。
ニヤリ笑って時計を見れば寝坊確実な時間だった。
どうやらどちらかが鳴っためざまし時計を無意識に止めたらしい。
「チェギョン!起きろ!寝坊だ。こら!ネボスケ、起きろ!」
シンはあたふたしながらチェギョンを揺り起こす。
「なんで起こしてくれなかったのよ!めざまし掛けてる意味ないじゃない?」
「知るか!おまえだろうが、止めたのは?」
「なんで私だって決め付けるのよ?シン君かもしれないでしょ?」
「おまえの方が位置的に近いだろ?」
無謀な言い争いが朝から行われている。
どっちもどっちだと思うのだか、誰もこの幼稚な争いに口を挟まない。
そんな朝のヒトコマ。
ちゃんちゃん。
おわり。
「お手洗いに行きたい…」
チェギョンの第一声はそれだった。
時計を見ればめざまし時計が鳴るまで1時間ほど早い。
行きたければ抜け出して早く行けばいい。
誰もがそう思うだろうが、問題はどうこの腕から抜け出すかだ。
しかも厄介な相手を起こさずに…。
それが難関だった。
チェギョンもそうだがなかなか寝入ったら梃子でも動かない。
お腹に置かれたこの腕は絡み付きなかなか剥れない。
運良く剥れて内心「ラッキー!」と思うのだか、すぐさま手が伸びてきて捕まえ、もとの定位置に戻されてしまう。
何回かそんなことがあったので、実は彼は起きていて遊ばれているのかと疑っていた。
でも、シンを覗き込むと彼は完全に寝入っていた。
寝ぼけた様子もなかった。
だから厄介なのである。
指を一本一本慎重に剥す。
「ふ~っっ」
汗をかく。
腕をそおっと静かに剥す。
「ふ~っ。」
また汗をかく。
絡み付いた足を剥す。
「ふ~っ。」
またまた汗をかく。
よおし、今日はうまくいきそうだ!
内心ガッツポーズを決めたチェギョンだった。
が、しかしだ。
今日は予期せぬことが起こったのだ。
チェギョンから意図的に剥された人物が笑ってるのだ。
しかも全身震わせて。
しかも声を噛み締めて。
とうとう堪え切れなくなり大笑いし出した。
「もう!起きてるなら起きてると言いなさいよね。労力の無駄でしょうが!」
シンの胸の所を怒りに任せて思いっきり叩いたチェギョン。
「うっっ!」
その先制攻撃に悶えるシン。
「シン君、大丈夫?やりすぎた?」
心配して叩いた所を撫でるチェギョンに対し、またまた笑いを噛み締めるシン。
チェギョンやっとだまされたことがわかった。
毎回毎回この手に騙されるチェギョン。
―いい加減学習能力をつけたらどうだ?―
と呆れるのだが、『もう!』とぷくっと膨れっ面をするチェギョンがかわいくて堪らない。
それ見たさに『騙される方が悪い』とついついやってしまうシンだった。
チェギョンは膨れっ面のままご機嫌斜め。
「おい!シン・チェギョン!抜け出してどこかに行く予定だったんじゃないのか?えぇ?」
その声にやっと自分が剥してまで行きたかったことを思い出したチェギョン。
「あ―、トイレ~!」
「早く行って来い!」
チェギョンの大声に耳に指を入れ、塞ぎ、面倒くさそうに言い放つとシン。
その合図にパタパタと走って行くチェギョンだった。
シンはチェギョンを見送るともうちょっと寝られると思い、眠りの世界へ入って行った。
「殿下、姫宮様、起きてください。」
遠くで誰かの起こす声が聞こえる。
チェギョンは自分のうでの中でスヤスヤ熟睡中。
ニヤリ笑って時計を見れば寝坊確実な時間だった。
どうやらどちらかが鳴っためざまし時計を無意識に止めたらしい。
「チェギョン!起きろ!寝坊だ。こら!ネボスケ、起きろ!」
シンはあたふたしながらチェギョンを揺り起こす。
「なんで起こしてくれなかったのよ!めざまし掛けてる意味ないじゃない?」
「知るか!おまえだろうが、止めたのは?」
「なんで私だって決め付けるのよ?シン君かもしれないでしょ?」
「おまえの方が位置的に近いだろ?」
無謀な言い争いが朝から行われている。
どっちもどっちだと思うのだか、誰もこの幼稚な争いに口を挟まない。
そんな朝のヒトコマ。
ちゃんちゃん。
おわり。