葵香の勝手 宮小説の世界

yahooブログ「Today is the another day」からこちらに移行しました。

シン君の無駄な苦悩

さっちゃんさんよりリクエスト。
さっき思い浮かんだので書きます。
こんなんでどうでしょう?
そうそう、お名前拝借しました。
アホ話です。

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ある時からシンは悩んでいた。

それもかなり。

コン内官などおつきの者たちはそのピリピリモードにどうすればいいのか戸惑っていた。

けれど、肝心の彼の妻、チェギョンはそんな空気に全く気付かず、元気に過ごしていた。

――なぜ気付かない?――

呑気な妻の姿に更に怒りを露わにするシンだったが、怒っている理由を言いたくても言えなかった。

それは何か?

とある夜、チェギョンが寝言でこう言ったのだ。

「さっちゃん、大好き~」と。

揺さぶってみたが、チェギョンはこんな時てこでも起きない。

ということで、いったい誰なのか分からずじまい。

そして頭の中では妄想が加速する。

昔の男?

いや、そんなはずはない。

では、誰だ?

確か、幼稚園に通っていたな。

その時の男か?

サンヒョン?

サシム?

名前を挙げればきりがない。

でも、聞けない。

誰だ?

どうすれば、わかるんだ?

悩み悩んだ末、彼女の親友たち、ガンヒョン・ヒスン・スニョンにそれとなく聞いてみたが、みな心当たりがないという。

妻が自分の前に男がいたとは聞いたことがない。

では、誰だ?

シンは毎日毎日その問いに挑み続けた。

明けても暮れても。

仕事の時も。

ある時、コン内官がいてもたってもいられず、助言をした。

「恐れ入ります。皇帝陛下。皇后さまに一度伺ってみてはどうでしょうか?
 それだけ悩んでいるのです。きっと答えてくれますよ。」

それを受け、シンは歩いていたチェギョンにとうとう聞いてみた。

「お前、いつか寝言でさっちゃんって言ってたけど、誰だ?」

訝しげに聞いたにもかかわらず、チェギョンはケロッとこう答えたのだ。

「さっちゃん?ああ、あれね~。」

いったい誰なんだ?

頭の中では聞きたいという思いと聞きたくないという思いがぶつかり合う。

けれどその答えはとても端的だった。

「人形・・・。小さい時に持ってた。」

なつかしいわね~と言って、子供たちの所に行くね~と去ってしまった。

シンはその答えを聞いた瞬間、直立不動で固まった。

その姿はしばらくしてコン内官が入ってくるまで続いた。



fin.


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どうだったでしょうか?
リクエストに当てはまってるでしょうか?
シン君の無駄な悩み、嫉妬でした。
チャンチャン。