葵香の勝手 宮小説の世界

yahooブログ「Today is the another day」からこちらに移行しました。

きみは愛されるため生まれた―You were born to be loved.

遅くなった。

渡り廊下を歩き、そう思っていると、風に誘われて、歌が流れてきた。

ああ、またあの歌だ・・・

チェギョンが唯一まともに歌える歌。

ずっと、レイのときから子守唄として歌っている歌。

リアが生まれてからまた歌いだした歌。

ドアを開けて、一歩中に入るとやはりリアを抱っこしながら歌っていた。

そばにはレイとメイが椅子に座り、もうそろそろ夢の中へ旅立とうとしていた。

この歌はいつでも効果覿面だな・・・。

そんなことを思いながら、その後ろ姿を柱に寄りかかりながら聴いていた。





               きみは愛されるため 生まれた

               きみの生涯は 愛で満ちている

               きみは愛されるため 生まれた
  
               きみの生涯は 愛で満ちている

                   永遠の愛は 

                 われらの出会いの中で
             
                    実を結ぶ

                きみの存在がわたしには

               どれほど大きな喜びでしょう

               きみは愛されるため 生まれた

                今もその愛 受けている

               きみは愛されるため うまれた

                今もその愛 受けている




この歌を初めて聴いたとき、涙を流したことを覚えている。

賛美歌だと教えてくれたその歌をその時まで聴いたことはなかった。

そのまりにも暖かい愛の歌を、チェギョンは子守唄として今も、これからも歌うだろう。

「シン君、お帰り~。寝ちゃったよ。リア。」

やっと俺の存在に気がつき、寝ているリアの顔を見せる。

「レイもメイも寝たぞ。」

そう言うと、あらま~と驚いたが、すぐさま微笑んだ。

俺も微笑んでいた。

どうする?という顔で見てくるチェギョン。

そのままシーっと合図して、先にレイを子供部屋へ運ぶ。

そして次にメイを。

いつの間にか重たくなっていく子供たち。

その成長を垣間見せてくれるこの空間。





なあ、レイ、メイ。

きみたちの存在は俺たちが望んで望んで神様から授けてもらったんだ

ずっと、これからもどんな状況になっても、俺たちは、

俺もチェギョンもきみたちを一生愛するよ

きみたちは、リアも含めて生まれた瞬間から愛で満ちてるんだよ

忘れないで

愛されていることを

愛していることを

どうか、早く大人にならないでくれ

その笑顔のままで

愛しているよ

俺もチェギョンも





「ホント、シン君この歌大好きだよね。
 この歌歌うとシン君、すっごく笑顔なの。
 いい歌だよね。」

いつの間にか横に来ていたチェギョンはそんなことを言う。

「ああ、そうだな。」

笑顔でそう答えた。

そしてチェギョンを抱きしめた。


チェギョン、愛しているよ・・・一生な・・・


そんな思いを込めて、キスをした。




Fin.